そして、君はいなくなった　第1話

なつしお ◆myjeheQZSo氏の短編

なつしお

2025年11月28日

1463 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 04:21:16 ID:PCy6x3TF: 魔王を討伐して凱旋した勇者（のか夫）とそのPT
国王や教会はその功績をたたえて、莫大な報酬を与える
さらに、魔族との戦争で減った人口補充もかねて勇者には王女を含むハーレムを作ってもらい、
勇者の血を引く子供をたくさん作るように伝える

ヒロインはPTメンバーで勇者が好きだったが、下層民OR奴隷出身であることと、
勇者の周りには王女様やPTメンバーの他の女性陣が魅力的な人が多く、
勇者に告白してハーレムに入れてと言い出せないでいた（勇者を除く周囲にはバレバレ）
そして、思い誤って、勇者の酒に薬を盛って寝ているところをやってしまうという凶行に走ってしまう…

竿役の少年は自分も勇者PTで活躍してたのに勇者ばっかりちやほやされてて不満がたまっていた
そして、姉のように慕っていたヒロインが凶行に走ったことによって、こちらも一線を越える
大好きなヒロインが勇者のことが好きなのはわかってたのでヒロインが勇者のハーレムに入るのなら納得した
しかし、ヒロインは逆レという凶行に走った
結果、逆レしたんだからされてもしょうがないよねとヒロインを襲ってしまい…
どちらの子供かわからない子供を身ごもってしまいヒロインは失踪してしまうのだった・・・

竿役：ハンター七四（やる夫スレオリジナル）OR黒鉄アルト（やる夫スレオリジナル）OR東京テディベア（派生VOCALOID)
勇者のことは兄の様に懐いてて尊敬しているが、勇者ばっかりちやほやされてて嫉妬心もしている

ヒロイン：三日月（艦これ）OR望月千代女（FATE　英霊　アサシン）OR柊シノア（終わりのセラフ）
自分にあまり自信がない　
竿役のことは弟のように思っており、襲われたが自分を第一に好いてくれていることもあり、嫌いになれず、頭の中がぐちゃぐちゃに

寝取られ役？：できないのか夫（２ｃｈ）
転生者だが、真面目に勇者やっており、顔面偏差値が低めで自分が女性に好意を持たれるとは露程思っておらず女性からの好意に疎い
転生前に女性関係で色々あったせい
ハーレムのメンツは向こうから来た人ばっかで、自分から声をかけたりはしていない（勇者の地位で強制したみたいになるのが嫌なので）

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　　　　,　「ヽ,' ﾉ/　∩'　　　∩'　 }　 |　　　　　では、本日からはこちらをやっていきまーす
　　　/　/ ヽい j　　Ｕ　　　　Ｕ　　l　,'
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　　// {　　}　八　　　　ワ　　　,.ｨ　｀､
　　{ {　ﾄ　 ( 　｀≧＝t==r-ァ;＜乂　　!　　　　そういう要素ありますので苦手な方はご注意をー
　　ゞ=ｲ　＼　　,'::::~乂ﾊ入/ﾇ:ヽ、　　 l
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1464 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 04:21:40 ID:PCy6x3TF: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_.....-:::::_　-‐
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1465 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 04:29:56 ID:PCy6x3TF: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　爻;';';';';';'＼;';';';'爻爻;';＼.:.:＼ノ⌒;:;:;:;:-=彡'⌒: :_彡-＜、;';'/　/／／;';';';';';';'爻
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ひび割れ、朽ちかけるも必死に耐えた町中が揺れ動く。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　街のあちこちから上がる轟音は、ともすれば悲鳴にも怒号にも思えた。

　　　　　　　　　　　　　　事実、涙を伴うものだ。もっとも、それは長きにわたる苦悩からの解放によるものだが。

　
1466 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 04:40:51 ID:PCy6x3TF: 　

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　――――世には魔王が在った。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　その剛腕を振るえば山河が砕け、破壊の魔法は天地をも引き裂く。

　　　　　　　　　ただそこに在るだけであまねく命が頭を垂れ、どうかどうか何事もなく通り過ぎてくれと祈るばかりの存在。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　絶対的な強者が――――在ったのだ。少し前までは。

　
1467 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 04:43:30 ID:PCy6x3TF: 　　　　　　　､__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人___人__人__人__人__人__人__,
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　　　キャー！　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ワー！
　　　　　　　　　　　ワー！　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ウォー！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _j⌒ヽ
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　しかして今はない。人々の、あまねく種族の熱狂こそがそれを示す。

　　　　　　　　　　　　　　　　彼らが溢れんばかりの感情をデタラメに向ける先にこそ、それをなした英雄がいる。

　
1468 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 04:48:02 ID:PCy6x3TF: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _. -―――- ､._
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　　　　　　　　蒼銀の鎧が神々しく瞬く。腰に佩いた剣は華美な装飾はなく、しかし鞘越しにも伝わる神聖なる退魔の気配。

　　　　　　　　　　　　　　　　　赤いマントを風になびかせ、颯爽と歩く男こそが魔王討伐をなし得た英雄。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　勇者やらないのか夫である。

　
1469 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 04:53:13 ID:PCy6x3TF: 　

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　　　　　　　　　　　　　　　＼∨ ∧　　　 | 　|　＞'ﾞ´ ,＞ｧ＞'ﾞ´　　　 W||,,/　 /
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　∧ ∨〈￣',/ 　　　　 (∨ | |｜ / ;　; ∥ /＼＼　＼ .| ',　＼!　／､　∨　　|У^!＼＼＼
_/ ∧ ∨',.　 ,/　　　 (＼':,Ⅵ } .∨　ﾚ' ∥/＼　　　＼　＼_',　　ヽ　　ヽ .|/　〈_／_〉　　　,|／
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＼､＼　',:　|　　　　　＼ヽ　,′　　　　/　_i^i^i^ii^i.,'^,',　ヽ　　　　　　 |/　　弋_{　　　才
､　＼　ヽ　 ;　　　　　　 {　{ 　　　 /　 | ! ! ! !| |' //, :::∧　　　　　　　 |　　　／／、　　 Y＼_
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____/〉｀У 　,////＼　　　　　 |　　 .:::∧　　　＼ /| C　　　,//|　＼ C　/////////.＼/////
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　　　　　　　　最盛期の半分にまでなった人類種の生存圏、その中心にある王都の通りを勇者とその仲間が颯爽と行く。

　　　　　　　　　　　　　魔王討伐の過酷な旅を終えた彼らの歩みは、しかし疲れを感じさせず晴れやかに。

　　　　　　　　　　　　　　　　　まるで出迎える人々の笑顔こそが背を押すのだと言うかのようだ。

　
1470 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 04:57:09 ID:PCy6x3TF: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|: : : : :| |　　 |､　　　　　　／: : : : : : : :ヽ
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　暗黒の時代を終わらせた男の名を、誰もが高らかに叫ぶ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　これはそれだけの大偉業だ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　正しく歴史に名を残す。いや、これより新たに切り開くほどの。

　　　　　　　　　　　ゆえの喝采はどこまでも高く。街中を包み込み、途切れること無く勇者へと惜しみなく注がれるのだった。

　
1471 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 04:57:33 ID:PCy6x3TF: 　
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1472 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 05:07:09 ID:PCy6x3TF: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿ || ＿
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　 .rnnｈhnｭゝ三彡'-'ﾟ''ﾟ　l~!　／V/＿_∨＼　.l~! ﾟ '' ﾟーゝ三彡' rｎｈhｎｭ　　　　　　 /ﾊ'、　　 ,.
　　ゝ三彡'　　　.ゞー＿rｎｈhｎｭ /二二ム _.rｎｈhｎｭ-＿ー_ノ　ゝ三彡'　ト､, -‐__ 斗､_｀__' o',
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　　　；ﾟ｡　　　 ,《》ﾟ｡,,ﾟ<>　`ー''　.<> ； <>　 `ー''　.<>ﾟo '《》。　　,ﾟ；　　 /:': / : /: : : : :! : : ﾊ : : ＼
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　　　　◇　　　　　　　　　.；.　　　　.；　　　　　；　　　　　　　　　　 ∥i: :!: i:＼＼辷ﾉ　　ﾋｿ///: i: :}:ﾊ　　　勇者さま、お時間よろしいかしら？
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ΤΤ..　}'//,| ゝ'y' {.ΤΤΤ.そ' ﾉしﾍゞ,ﾍ_ ΤΤΤΤ||: |..}'//＿_　　　　}:/:/:.!,　　 ',i "　　　　 /　　ﾊ:.ヽ:.-、:.:.:.:丶 ,| t,vy'
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　　　　　　　　　　　　　　かくして帰還した勇者は人の王へ出迎えられ、そのままに宴席へとなだれ込んだ。

　　　　　　　　　　　　　　　　どれほど多くの言葉を重ねようとも、偉業を語り尽くす事はかなわない。

　　　　　　　　　　　　　ならば思いのたけをデタラメに、これでもかと発する方が感謝が伝わると言うものだ。

　　　　　　　　　　　　　　　　はたして即座。国を上げて、魔王討伐を祝ぎ、勇者を称える宴が催された。

　
1473 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 05:08:52 ID:PCy6x3TF: 　　　　　　　　　　　　　￣￣　､
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　　　　ｉ　　　　　　　　　　　　　　　丶
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　　　　 ',　　　　ヽ　ゝ _　　　　　　　　　 ',　　　　　　　　こ、これは姫様……ええ、ええどうぞ！
　　　　　丶　ｉィ⌒　l　　｀ヽ　　　　　　　　　 i
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　　　　　　　ヽ　ゝ＿人_フ ´　　　　　　　　　　　ソ:.:.:.:＼
　　　　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　'　　 /:.:.:.:.:.:／＼
　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　/　／:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.ヽ､
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　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　　／ /:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀ヽ､
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　　　　　／: : : : : :/ : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＼弋}.|: ＼
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　　　 : : : : : : : : :｜ : : : : : : : : : : l: : : : : : : : : : : : : ＼: : : :'､
　　 /: : : :｜: : : : :', : : : : : : : : : : :Ⅳ: :| : |: : : : : : : : : :'､: : : ',
　　 | : : : : | : : :｜:|＼: : : : : : :斗====--Ⅳ: : : : : : : : : ', : : :i
　　 ', : : : : Ⅵ : :|:⊥　＼ : : : : : /　|:/__|/ ': :｜: : : : : : ｜: : :i
　　 ',: :', : : :': ／Ⅳ＿_　': : : : / .x芹＝ミ｜: |:|: : : : |: :/ : : : i
　　　 ',: :', : : : ＼|芹'べ　| : ／　　ﾄ._/::ｌ》|: ///: : :/ /:', : : : ',
　　　　＼＼: : : : 《　ト.ｲ ´ ´　　　込:ツ　|//ｲ: :／ /:l: :', : : : '、　　　　　　ありがとうございます
　　　　　＼＼:､: '､込ﾘ　　　　　　　　　　　/: ／ : /: :|: : ', : : : '､
　　　　　　　/: : :＼`　　 /　　　　　　　　　/／: : : : : :｜: : l : : : : :､　　　　　ごめんなさいね、歓談へ割り込んでしまって
　　　　　　 /:l : : : :',　　　　　　　　　　　　/ : : : : : : : :｜: :｜: : : l: :',
　　　　　／ /: : : : : ' 、　　ｰ ‐　´ 　　 ,′: : : : : : : : l: : : : : l: : |､: ',
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1474 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 05:14:10 ID:PCy6x3TF: 　　　　　　　　　　　　　　 . .. ---- ..　　　. .: :｀ヽ
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　　　 ,′' ,ヽ.　　乂::::ｒｰ{ ﾉｰ‐‐''　　　　　｀ヽ.
.　　　　i　　　' ,ゝ､ｒ‐ｧk'′　　　.　　　i　　　ヽ　丶
.　　　　ヽ　＿ . ソ /_ﾉ　　　　　 |　　　|　　ﾊ　.!　i :
　　　　　ゝ、7ﾊヽう　　　　　　｣!-‐i !j　i　ｒ‐ｔ .!　| i
　　　　　　, ´ ,　ｒ､ﾉ｀　 . : : : '´ 人_ 八! ﾉノ - iﾊ　!ﾉ
. 　　　 /　ｉ/（ｊ　　　　ｒｖ': :　斗ｒ升ト乂ｨｆﾁﾄｊﾉノ
　　　　　Ｌ...ﾉｰｲ　　　 /{ {i' 　人ゞﾟ‐'　　､ﾞﾟ'′ｉ（　　　　　　　　　　　　　別に構わないわよぉ
.　　　　　 }}/　　　 ,'　ヽ!　' 　ヽ::::::　　　　　ﾉ. :）　　　　 , ､__
　　　　　 ,′　　 ,′. :.| . :　　　}　　 _， i{{三三三三三i　! i｀r､　　　勇者さまも、憧れのお姫様とお話できて
　　　　　　　{　i　　/i　. : :i . :.!　　ト .... _ .ｲゞ'ﾆﾆニニニﾆi ﾉ!ﾉﾉノi
.　　　　　　ヽj　 ,'.::i　. : :! . :i　　 j￣￣{{. :::〃ﾊヽ　｀ヽ　ヽ ' 　 |　　　ついつい鼻の下をのばしちゃうくらい、喜んでいるみたいだし
　　　　　　 }　.!〃⌒ヽ乂 j　　 i:::::::::::{{ト､i ｒ‐､.ﾉ　　乂　　　 |
　　　　　　　ノ. .:/　　　乂｀ヽ. ﾉ::::::::::::{{::::::::.ヽ｀ヽ.　　　ヽ｀　　|
.　　　　　 ,.:´. :／　　　　　 i iヽ. ヽ:＞‐=ﾆ.:.:.:.:ヽ'´.:.:.:.:｀.:.:..､　}　　 |
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　　　　　　　　　　ワイングラスを片手に、勇者の隣に立った姫――アンリエッタ――へ賢者ゆかりが、意地悪く答える。

　　　　　　　　　　　　　　　魔王討伐へも同道した旅の仲間。その一人は、美麗な顔を酒精に預け赤らめている。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　じっとりとした眼差しは、嫉妬ともやっかみとも取れた。

　
1475 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 05:18:54 ID:PCy6x3TF: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ___　　　_＿＿＿　　　 _＿
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　　　　　　　　　　　 |　 /:ｉ　　 i { ⌒　　　　　　　　　ノ／}　　|: . |　　　　　旅立ちの日、見送る姫様を
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　　　　　　　　　　　 {// .:|　　 |:: :　　　　　　　　　　　 ..:::|　　|: : |　　　　　いつまーでも、名残惜しそうにみていたものなぁ
　　　　　　　　　　　 //　.::|　　 |::込　　　　　　 ^　　　 ..: : }:.|　　|八|
　　　　　　　　　　　ノ人 . ::|　　 |: : : :}:::....　　　　　　 ..: : : ::八|　　|⌒|　　　　　三日月も覚えてるだろう？
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　　　　　　　　／／／..::::::::::::::::::／_､‐二ﾌ : : : :　　八,/.:::::八リ
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1476 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 05:25:36 ID:PCy6x3TF: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／',
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　凛とした佇まいの女騎士アリスの横、小柄な少女の三日月が続く。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　旅の始まりの光景も今や遠い日の出来事だ。
　
　　　　　　　　　　　　　二度と見えることはないかも知れない故郷を焼き付けた日の覚悟も、いまや笑い話にできるくらい。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　魔王討伐へ赴いた者たちの心は緩み、弾んでいた。
　　　
　
1477 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 05:30:50 ID:PCy6x3TF: 　　　　　　　　　＿＿＿_
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　　　　 .／　 -―-　　 -―- 　　ヽ
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　　　 / 　　〃￣ヽ　　　〃￣ヽ
　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　か、からかうなよ皆
　　　 l 　u.　　 (＿_人＿_)　　　　 |
　　　 |　　　　　　ヽ::::::::::ﾉ　　　　　　　　　　　　ええと――それで、姫様
　　　　　　　　　｀¨´
　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　なにかご要件が？
　　　　＼　　　　　　　　　／
　　　__.／:::::i　＼　　　／ " !:::::::｀:､._
-''"´::/:::::::::::i 　　 /´;;｀ﾍ.　　 i::::::::::::ﾍ;:.:::..`:..:::....、
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　　　　　　　　　　　　　　　　　気恥ずかしさを誤魔化すようにしながら、やらないのか夫が問いかける。

　　　　　　　　　　　　　　　　アンリエッタは頬を赤くしたままに、勇者とそれを取り巻く仲間たちを見つめた。

　　のか夫の側には女性陣が集う。すこし離れた所で、男たちが山のように盛り付けた肉料理にかぶりついているのが見て取れた。

　
1478 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 05:35:06 ID:PCy6x3TF: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿__　＿＿__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__/ (_)｛o≠､__: : : :｀:～.、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _∥=ﾟﾟ_oﾟ== ミ}}oヽ: : : : : : ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｛{o{／: : : : : : : :`⌒) : : : : : : : '､
.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /^´ : /: : :＼ : : : : : : : : : : : ', : : '､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: : : : :| : : : : :｀:＜ : : : : }: : : : ', : : '、
　　　　　　　　　　　　　　　　 / : : : : ｜: : : : : : :―≠―-: : : ｜ : : '、
.　　　　　　　　　　　　　　　　　 | : : : :／乂:､: : :､:＼x=≠=ｧ : : :｜: : : :'､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　乂＼: : :芹ミ＼} ＼} 込ツ: : : :Ⅳ: : ハ: '､　　　　　半分は政治の、残りは私の心残りを
.　　　　　　　　　　　　　　　　　＼＼:.弋:ﾂj　　　　　/ : : : Ⅳ: : : :ハ: '､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : ＼:ヽ',　 `　 ___　 / : : : : :′: :|: : :ﾊ: :'､　　　近く勇者様には多数の縁談が舞い込むでしょう
.　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : / l: :トs｡_　` ´ / : : : Ⅳ : : : |: : : ﾄ＼}
　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : / : |: :|: : : :｀ T./: : : : ∨ :｜: :Ⅳ : |　　　　　血を求め、あるいは庇護を求め、もしくは減少した人口回復のために
.　　　　　　　　　　　　　　　　 /ｲ: : : ｲ : , l: :ﾄ､: {-‐ﾉ,′: : : :/:ﾊ: |―-ﾐ:Ⅳ
　　　　　　　　　　　　　　　　 ´ l : :／|〃 .Ⅵ　＼､ ': / : : /:/ .寸　　 ',ﾟ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　 l／　｡'′　ｉ　　 f r‐.､ |: : /j/　　　　　　| ｡
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.ﾟ l／＼丶`└､_.┘: /、.＼　/　　　,　ﾟ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,:ﾟ､丶`. .ノヽ.　／､丶j/. .ﾟ.｡　V 　　 /　ﾟ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　｡'/. . . . . j .У}.イ_　) . . . / . ﾟ.｡〉　＿/.__　ﾟ,
　　　　　　　　　　　　　　　／{. {. . . . )　｝｜{　 ( . . . . . . . /ﾟ.｡. . . . . .＼ﾟ,
　　　　　　　　　　　　　　　ｲ. .人 ', . . .(　.｝｜{　._) . . . . . 〃. . .ﾟ｡ . . . . . .', ﾟ,
　　　　　　　　　　　　　　　 ,ﾟヽ,ﾟ. .＼､. 廴.｝ |　__j. . / . ／ , .-┬.ﾟ｡. . . . .丿ﾟ｡
　　　　　　　　　　　　　　　,ﾟ　 ,ﾟヽ /. . .T. ) .｝ !　_(. .T. ´:}. . . . ./}. . ﾟ｡_／　　 .ﾟ､
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1479 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 05:41:07 ID:PCy6x3TF: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　-----
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　　　　　　　　　　　　 /　 /　,! .i. !　.!""　　　　 ,　` ー'/ ./　.,!i. !′　　　　　　むしろ、この湧き上がってる今だからでしょ
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　　　　　　　　　／　／　/　 /! .!　l、　　 ` ー　　　ｲ／ィ´i　　　　　　　　　　喜ばしいことで畳み掛けて、未来への希望を花開かせなきゃ
　　　　　　 ,..　'´,.. ‐'´ , イ　 / .! .i.　l. ヽ、　　　 ,.. '´i. ! ヽ、ヽ、
　　　,.. ‐''´,.. ‐''´_,.. ‐''ﾞ　/ ／ ./ /　.ﾉ─-｀rー ' /l.　!.! .iヽ、ヽ　ヽ、
,..　'´　,.. 'ﾞ ,.. ‐'´ ,.. -―┬r-／ /／:::::::::::::::| |::::::{ ｌ // l lヽヽ､｀　　ヽ、
　 ,.. '´,.イ,.　'´／　　 ,.. | |'´　／｀ - ..,_::::::::| |::::::ヾー-,..-┬r‐､‐ヽ、　｀　、
..'ﾞ .／'´ '　／　 ,.　'´　　,.. ‐'ﾞ::::::::::::::::::::｀::://:::::,. ‐''"´::::::::::| |　ヽ　ヽ、　　ヽ、
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./　　　, ' 　 ./ .,.'　　　　 i,.i'‐'"´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ゝ .i,_|　　　　',　　i　', 　 iヽ

　
1480 ：名無しさん＠狐板： 2025/11/28(金) 05:44:52 ID:WDowJd92: そんなに急に・・・
1481 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 05:53:48 ID:PCy6x3TF: 　

　　　　　　　　　／'　 , . -‐: :': :": :": :': ‐- 、 (_ノ.〃
　　　　　　　　.〃..＜: : : : : : : : : : : : : : : : : :丶　ヽ'，
　　　　　　　／: : : : : : : : :.l : : : : : : : : : : : : : : ＼. l‘,
　　　　　　／ : : : : : ∥: : /{: : : : : : : : : : :＼: : : : :＼.l
　　　　　　! : :∥: :|:.∥:_:／ !:!、 : : : : ヽ､__: ‘; : : : : : ＼
　　　　　 {: : : !: : +:'ﾊ: xzx_‘:, ＼: : :/xzx､:`丶: : : : : : :}
　　　　　　': : : {: ∥/イ　.ﾉ!　＼｀:./　/¨`:ミx}: : : : : : :/
　　　　　 , :V: :.!: 〈《　ﾄ-ｨj::}　　　 }　ん_ノ}　》}: : : :/:/
　　　　／: /:＼:';.:ﾊ　乂z:ｼ　　　　ゝ:_ノ　　': : :/:/:ヽ　　　　　　人々を再びまとめ、進むためには必要な事
　　／ : :/ : : : ＼: i　　　　　　 l　　　　　　　/}: :/:'l: l: : ',
　 ./: : ／: : : :〃: : ﾊ　　　　＿　　　　 //／: :.!:.ヽ: :l　　　　　――――そうお願いするのが政治の理由でして、もう一つ
　｜／: : : :／:/: : : :.ヽ　　　 `＝’　　　ノ: :′: : :l: : ヽ:|
. ／ｨ:l: : : /: :/: : : : /: !:＞.、　　　　 _.｡＜: !: : : : : : :'; : : ヽ,　　　　周囲の望む理想が高らかになる前に。わたくしの心も、知っていて欲しいのです
/'´ l !l: :./: :/: : : :, ': /:.:.;:l ヽ｀._ｰ_'__ノ'l:.:.:.:.:!: : l: : : : : '; : : l: }
′　'{.-.:′: : : ／: :/‐´､､{_) /¨，.ｎﾉヽ:.:.:l: : :'; : : : : :ヽ: :リ
　／　l: : /: : : : ／　 _ r.､r.､乂ﾉ.,.‐う' ) _｀ヽ: :.丶 : : : : :‘,
／　　 '､: !:/: :／　　ゝ'ゝヽノ.)'′ノ　〃ｲ.　＼: :ヽ: : : : : ﾄ､
　　　　｀V:／_. -‐ .{ヽ',.／ /　 ./　 /.{　∩　　　＼:'; : : : :}. ヽ
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　　　 .′　　 , ′　　　　-_丿¨ Y _／　　　　ヽ　 ',　　　 ! }
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　アンリエッタが手を取る。旅の仲間たちへ目を向けた。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　きっと。自分と同じ気持ちなのだろうと。だから、言うべきは今だ。

　　　　　　　　　　　　　　　余分なモノが絡んだあと。制度や世のためと言う大義に寄らない、裸の感情を語るには。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　公よりも先んじねばならない。

　
1482 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 06:00:31 ID:PCy6x3TF: 　　　　　　　　　　 .　 '"⌒'ｰ─　＼.:.:.:.:.:.:.:....
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　短く。はっきりと、アンリエッタは告げた。

　　　　　　　　　　　アリスが気まずそうに頬を染める。紫が楽しげにワインを傾けるも、その頬は酒精と別に赤い。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そして――――三日月が、目を見開く。

　
1483 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 06:05:52 ID:PCy6x3TF: 　

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　 :/// Ｙ　)乂ノ　 ,: 　　　 |:､　＼ヽ:／ヽ　ヽ ::::::::::::／／:|
　///ノ,ィ´　':/　　/―-　　 ' |　i　　 < ＼ノ　　　￣)__ノ:|ヽﾉ
_,彡^７/:|　 i/|　 :/=ミヽ∧/　|　l　|　　V⌒ヽ　　}　　'⌒7|_/
　|　//　|　 |､｡　伐_ソヾ　　　| ﾒ､ |　　 V_,.ノ　　' 　　　//　　　　　　長い旅の間、いろいろと見たけれど
　| ( (　八　|八从　　　　　ｨ不　:ﾉ　　ｉ＿_ ／　　 /:'
　l　) V 　∧　〈　､　　 '　´ｲ／l　 |　l |=彡＿　　 /:.,　　　　　　　情が勝るくらいには想っているわよ、私もね
__彡／ |　{/_ヽ　ヽ＿',,... イ　|＼j／| /人　　＼ /: /　/⌒ヽ
_:／　人　､￣＼　〈＜,)ﾍ人　V＼､ >へ　ヽ＼( （:.:./_ノ　ヽ_廴
　/／ r )＼＼　 ) ｉヽ〉乂７=ミ＼ゝ <| /〉､＼＼_/./ へ_ﾉ(_ 八＿＿
／　　|: : : : ＼∨ ハ _ >ーソ￣￣ヽ `〈メヽ( ヽノ..,'　 Y＿　ハ―――=ミ
:i　　 |. . . . . . . イ '⌒>～..＼. . . .ノ. .ｉ　 }　 Y. . . . . {r～{　＿__し）＿　　　　＼､
:|　　ﾉ. . . . . . ..Vー^~. . . . . . Y. . . . .,　　'　 ,. . . . . .八　､＞'"　　　　V/　　　　＼
八　{. . {. . |. . . ハ. . _／. . . . .,: . . . ノ　　ｉ　ｉ. . . . /　　Y　　　　　　　V/　　　　)
　 ∨r-ミ_／::.|..／､__. . . . . ../￣. .V（　 / ヽ|. . ／ｉ　＿_)　　　　　　　 V/＼ __ 　／
　八､:.:.ゞへﾉ . | . . /‐-=彡. . . . . i＼_＞／. . . .人　 (＿　　　{　　　　　V＿＿彡'
／　 >^７r～）_/ ヽ〈　〉. . . . . . . ヽ‐=７. . . ／. . . 丶　__)　　 i　　　　　Ｖ
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　　（　　ﾍハ　　ｉ L人__/. . . . . . .／ . /. . . .ﾆ=-. . ./ (''　￣￣￣￣￣　V∨）
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乂　ゝｲ　{`ｉ　　　i ∨. . .|. . . ／. . . . . . . . . . . . . . . . ..〈　）　　　:.　　　　 V /
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　　　　　ﾍ　〈　＼{. . . . .V. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .V⌒V人/∧　　　　 V＿
　　　　人〉　)〈_ノ. . . . . .`､. . . . . . . . . . . .｀`～､、 . . . . . ｉ　 )＿ /∧　　　　　 Vノ
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1484 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 06:09:00 ID:PCy6x3TF: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　___　　-----　 ___
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.　　　　　　　　　八 /{ 　 i八 Ⅳ芥うぅ )/　　　芥う灯ぅⅥ:..　　八　　＼ . ::
　　　　　　　　　i　 / { 　 | : : 八　Vツ　　　 ′乂ツ　八/: .　　 V/　＼＼}
　　　　　　　　　| {/　{ 　 |:.　. :::. :.:.:. 　i　　　　　　.:.:.:. / , : . 　　　V/　　V:八　　　　　　本当にやってのけたからな、魔王討伐を
　　　　　　　　　| {　八　.:| ､ . :八　　　　　　　　　ノ／}. :八　　 V/　 }/
　　　　　　　　　|八　 V八(＼{ 込　　、　 _,　　⌒´ ..::／/∧ 　　 V /八　　　　　　　　その苦難を見てきた分だけ、支えたいと想ったものさ
　　　　　　　　　|⌒＼ ': .　 }　＼( :::.　　　　　　 ...::::{┐__八　　　 V/⌒ ¨¨¨　　､
　　　　　　　　　　　／: .　　}　　 r＜:::＼__　　　-=≦::／　⌒＼'，　　 V/: .　＼　＼:'，
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1485 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 06:09:54 ID:PCy6x3TF: 　　 ,/.::::::/::／::::::／:::::::::::::::／::｀＼::::::::::ﾏ⌒¨¨゛　　　　　　　　　/ :/|/''゛
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1486 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 06:16:20 ID:PCy6x3TF: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿ || ＿
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＿_￣ヽ///iヾｬﾆ∋＿＿＿_.,ﾝとや/´ (..＿＿＿＿__￣ヽ///iヾｬﾆj}_〉＿＿|`丶、ﾆﾆ二二二二二二二二二ﾆ＼{ ﾆ彡゛二二二ﾆﾆ＼
ΤΤ..　}'//,| ゝ'y' {.ΤΤΤ.そ' ﾉしﾍゞ,ﾍ_ ΤΤΤΤ||: |..}'//,| ゝ'y'il . ΤΤ||: | :|| `丶、ﾆ二二二二二二二二二ﾆ寸ﾆ二二二二}iﾆﾆ∧
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.　　　 |/ ﾚ'／　/＠.　　　そ＿ん＾ふ'´　　　　　　　　　 |/ ﾚ'ν　ソｖ’.　　　　　,そんんんんん川ﾑﾆﾆ＼二二二ﾆ{!Ｏﾆ二二二}ﾘﾆﾆﾆ :{
　　　　/ /!　／ / *ﾍ,　　　　　　｀’　　　　　　　　 / /!　}　;　ﾊ　　　　　そんんんんんん ⅱﾆﾏﾆﾆヽ二二二}!ﾆ二二二二,'ﾆﾆﾆﾆﾘ
.　　　/__(-,`＾～ー～’　　　　　　　　　　　　　　　　　 /__(-,んんん-'　　　　　　　　　　　　　　　ⅱﾆﾆﾏﾆ二二二二}!ﾆ二二二ﾆ}}!ﾆﾆﾆﾆﾔ
　　　ー'　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ー'　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }}ﾆ二 ∨二二二ﾆ{{Ｏ二二ﾆﾆ.ⅱﾆﾆﾆﾆ.ﾔ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Iﾆ二二∨二二.ﾆⅱﾆ二二二 ⅱﾆﾆﾆﾆ..ﾔ
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　遠目。肉を頬張っていた騎士の少年が、ぼんやりとつぶやく。

　　　　　　　　　　旅の仲間や一国の姫が慕うだけの理由は十二分。だからか、嫉妬や憧憬よりも納得が浮かんでいる。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　だが。その隣に座る少年は、いくらか違った。

　
1487 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 06:22:22 ID:PCy6x3TF: 　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'"´　　￣￣　　　ミ
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　／／　　　 /　　　 /　　　＼　　 '　,
　　　　　　　　　　　　　 ,　　　　　 ./　　　 / :| 　　　ヽ　　 ',
　　　　　　　　　　　 /　/　　　　/　　　./ｉ　|V　　　　 `、　　',
　　　　　　　　　　　　　 /　　 __　　 !　　 __i{　.|∨ 　　　 `、　 i
　　　　　　　　　／／/ 　　! 　｀　|　　ｉ八‐T=‐-　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　／／　/ 　　.!　 | 　 |　　 |笊芋示ﾏ.　　! 　 i }　 ;
　　　　　　　ー　 ´ 　 /ィ　　 !　 |　 Ⅳ 　 :| _）.ij　ﾘ } V　|　　|ﾘ　,'
　　　　　　　　　　　　　　/　! 　　 |　从N| ＼　| 乂__ノｲ　`､}､　 ! ./
　　　　　　　　　　　　 |　　/N∨ 　　 ,　ヽ!　　　　,.!　 ./ }、Ｖ
　　　　　　　　　　　　 l　 / 八／|　　　　　　　　/ | | /ｲ　＼∨
　　　　　　 ,-､r┐ /　　　 |／ /　＼7 　ｒ-　、　　/　:! !'　　ｉ_　｀_　　　　　　仕方ないよ、それだけの事をしたんだもの
　　　　 ,ｲ_　ｌ　{ .{丶＿＿_ .ｲ　 /　,＼　　　ｨ/　　| |　　 / Y´ }
　　　　　<_,i　/ __,V',　　　　 |　　ｉｚｚ{｀ｰ｀ニ斥‐./ 　 , .l |,_　/　.{ Ｖヽ
.　　　　 Yァ ´／=ﾐx　　　　 ,| 　 |`;;┘;;／ i{ﾆﾆ/　／ﾉl |_ﾐﾉ_　 '　 .､_}ヽ
　　　　　　＼/二二ヾV　　 / 、　|;;ノ／　ｉ{ﾆﾆ/／イ　八|ﾆ｀'＜ヽ.ノ`‐'
　　　　　　 {ニニニﾆ‘, 　./ニ,＼|;;/__＿ｉ{二/ﾆ/ .／/ﾆﾆﾆﾆﾆ}_ヾ＼｀　＜
　　　　　　 |ニニニニ‘, /ニ∥二/└―'ｉ{二'ﾆ/ /ﾆ/二二二二ﾆ}:　＼　　ヽ
　　　　　　　　',ﾆニニﾆﾆ/ﾆニｉｉ;ﾆﾆL..二二{二ﾆｉ　|ﾆ,'二二二ニﾆ/,゛　　＼
　　　　　　 ∧ﾆﾆﾆﾆﾆ′ﾆ∥ﾆﾆﾆ/ ﾉﾆ二二ﾆ}　{,'二二二二ﾆ//　　　　ヽ　 } ＼
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　　　　　　　　　旅の仲間。ごく最初に、やらないのか夫へ命を救われた貧民街の少年が諦めを宿した目で見つめている。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　眼差しは集団の中。大人の配慮で輪に入れられている少女へ向く。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　黒髪を揺らす彼女はさて、何を語っているのだろうか。

　　　　　　　　　　　　　聞こえなくて良かったと。胸を撫で下ろしながら、揺れる感情を誤魔化すように肉を食らう。

　
1488 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 06:29:17 ID:PCy6x3TF: 　　　　　　　＿＿＿＿＿＿＿
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　不貞腐れたような仕草に。致し方ないかと、少年騎士は曖昧に返す。
　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　彼、ナナシの情を理解している。それが向く相手、三日月のもだ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　一方通行を二つ重ねた関係性も、まもなく終りを迎えるだろう。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　一人の失恋と言う形で。

　
1489 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 06:37:23 ID:PCy6x3TF: 　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
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　　　　 ./:::::::::::::::::::|:::Vﾊ乂リ ,　　　　　　　 /:::::::::::::::::::::|_ノ:::::::::::／⌒)
　　　　 ':::::::/::::::::::::|:::::::::ﾊ´´　　　　　　　 /::::::::::::::::::::::ﾘ:::::::::/∨　　　　　　　　　（とはいえ、あの中にナナシが割り込むのもなぁ）
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　　　人{　⌒):ノ　}:::::::::::::;＼　　　　　 /:::::::::::::／i!:::/从{
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　　　　　　　　./::::／／三三三三/／三|○三三三三三三三三三三＼
　　　　　　　　/:／／ﾆ三三三三三三三|三三三三三三三三三三三三＼
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　　　　　　　　　　一人の男が複数の女の思いへ答える。ともすれば不純だが、それが許される実績と立場、度量がある。

　　　　　　　　　　　ここへ自分もと男が割り込むのは政治的にもよろしくはないし、他の女性陣が了解を得ることもない。

　　　　　　　　　　　　　　　　　友人の、旅の仲間と言う地位は守られるが。恋仲にはもはや届くことはない。

　
1490 ：名無しさん＠狐板： 2025/11/28(金) 06:38:12 ID:WDowJd92: すぱっと告って振られて、次の恋に向かった方がまだマジじゃないかとさえ思うは・・・
1491 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 06:41:30 ID:PCy6x3TF: 　　　　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　　　　 ≧=三三三三三三三~三三三三三ﾆ=-
　　　　 Vﾆニニニニニニニニニニニニニニﾆ∥
　　　　　Vニニニニニニニニニニニニニニﾆ∥
.　　　　　V三三三三三三三三三三三三三=ｲ
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.r=ﾆツﾌﾌｱ=三三三三三三三三三三三三三ﾘ
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i|乂ニニﾆﾆ=ｰ∨|i.:.:|i:.:|芯劣＜ニ二二ニ=─＼./ﾆ//ﾆｧ｡_
`マ廴ア^ニﾆ=-〉|i.:.:|i:.:|弋zﾀノ　/:::::ｨ劣r |i:|ﾆ=- マ/ﾆ/_r=ミ､
　　 `芍ﾆ［￣￣Ⅵ.:.乂|　　　 /イ'代ツ|i:|i:|　やｈ､人｛/┌=｣
　　　　｀`∨777ｱ=--=ﾆ　　　､　　 /|i:|i:| 　寸ﾆ乂Y乂ニ|　　　　　（落ち着いたら、見合いでもさがしてやるか）
　　　　　 r=ニ¨ニニニ〈、　 _､　　 //|人|　　　寸ニ＼ﾉニ|_
　　　　　∨〇ニニニニ‐|iト　＿　イ::/　　　　　　Ｙ=- -=彡ｸ
　　　　　　∨ﾆﾆニニニﾆ＼ニ}厂三}＿　　　　　＞ニニ久＼
　　　　／ﾆ``〈〇ニニニ｀､＼ソ〇ニニ三`ニ=､、／λ　／／ヽ
.　　　/ﾆニニﾆ|ニニニニ=､ﾆ:トﾆ〕ｈ､ニ＼ニニﾆ|i ＼∨／／ニﾆ}
.　　　｛ﾆニﾆﾆﾆ乂ニニニニニニ〉ﾆ〕ｈ､ﾆﾆ＼ニニ＼}h∨〃ニﾆ/
　　　 Ⅶ ニﾆニ /ニニニニニﾆ∧ニﾆ〕〇ニﾆ＼ﾆニ. Vニニニ〈
　　　　Ⅶﾆﾆニﾆ＼ニニニニニﾆ∧二二〕ｈ､ニﾆ`､ﾆニ|=ﾆニニ∧
　　　　 Ⅶニニニ=`～､、ニニニ/=〉ニニﾆ〕ｈ､ﾆﾆ`､ﾆ｣=ニニﾆ/ﾆ〉
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　　　　　　　　　　　　　　　　諦めを飲み下そうと、骨付き肉を両手にかぶりつく仲間へ向けて密かに決める。

　　　　　　　　　　　　青春と言うには積み重ねた日々が重くのしかかるが、届かない以上は諦めるしかないのだ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　いつか苦い思い出として心の棚へしまえるように。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　――――これは、本来はそういう話である。

　
1492 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 06:52:29 ID:PCy6x3TF: 　　　　　　　　　　　　　 /.::/.:/ ./ .∧::::T"'　　　　　　丶　　　　　　　'"T::::::::::/ ::::: V::::V∧
　　　　　　　　　　 /.::/.:/ ./ ./::::}:::::|＼　　　　　　　　　　　　　　／| ::::::/:::::::::::l V::::V:‘，
　　　　　　　　　／／／／ ..::::::::}:::::| 「二- .,_　　 r:::::っ　　　_ ‐ﾆ|..::|:::::/:::::::::l::::ｌ　V ::::: ‘，　　　　……こんな綺麗な人たちに混ざったら
　　　　　　　　　　 ,／／／／_､‐ニ二}:::::|::|ﾆニ{　ﾆ‐　　　　. .‐ﾆ‐- ,_|::::|::::{ ::::::::::l::::ｌ　‘，:::::: ‘，
　　　　　　　　　／ .:: ／／.::/￣＼‐ﾆ}:::::|::|ﾆニ{　　　　｀¨´ : : :}ニﾆﾆ|::::|::::{ﾆ‐ _ :l::::ｌ　ﾟ｡::::::::: ﾟ｡　　あたしなんかすぐに…………ッ
　　　　　　／...:::／ ..:::::::: ‐ニﾆ‐ ‐=}:::::|::|ﾆニ{　　　　　＼ : : }ニﾆﾆ|::::|::::{ﾆ=‐/＼」　　,}:::::::::::::}
　　　　／..::::...::::::::::::::::: ‐ニニニ‐} }:::::|::|ﾆニ{-‐…････…‐- }ニﾆﾆ|::::|::::{ﾆ‐/‐ﾆ‐＼／:::::::::::ノ
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　誰にも訪れる痛みを伴うけれど、死ぬるほどではない転機。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そういう、話であるべきだったのだ。

　
1493 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 06:52:45 ID:PCy6x3TF: 　
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1494 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 06:55:37 ID:PCy6x3TF: ヽ　: : : : : |ﾆﾆ|_|ﾆ|＿_|＿＿___|　||ﾆ|Y^Y || j{x＾|::::/:|: : :｡o≦丁≧o｡: :ハ: | f^Y |'´｀Y::| :|::::::|: :/::::Ｖ:_:_|:_:_||:_:_:_| : : / /:.:.:.:.:.:.:.
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ふと。寒気を覚え、ナナシは目を覚ました。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　当たりには兵士や王様が赤ら顔で山になって眠りこけている。

　　　　　　　　散らばる酒瓶や酒樽、高そうな絨毯のシミから漂うアルコール臭を思えば何が起きていたかは明白だった。

　
1495 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 07:09:45 ID:PCy6x3TF: 　

　　　　　　　　　　　　　　 ―――‐-､ミ
　　　　　　　／　　　　　　 ∧　｀　､
　　　　　　　　／／　　　　　／　 ∧　　＼
　　　　　　　/ ／　　　　　　／ヽ　　　　　､　＼
.　　　　　　/ /　　 ′　　 /　　　 ',　　　 !　 ! 　、＼
　　　　 '　'　　 ,′　　./　　　｜ , 　　 |　 |　　ヽ､. `､
.　　　　 | |　　 ,′　　/――‐ -　l　　 j|-‐l‐　　 ∧＼`、
.　　　　 | |　　,′ 　 ,　.｜　｜　|　　/ｨ=ミ　　　 .| 　＼
.　　　　 | l　/ !　　　' 　｜　｜　|　./'!:::|　}　　　　|
　　　　　　 ∨　! 　｜.　｜　　｜　| /　｢｀! ,'　　 }＼|
.　　　　　　'.　　|.ｉ|　 l､∧∧∧∧∧}' 　 tﾝ .{ﾊ　./
　　　　　 '.　 |八　|　il／〈_　　　　　　　uﾉ　∨　　　　　　……さすがにほっといちゃ不味いか
　　　　　　 }　　 lヽ　i|:､／　 ,、　　　イ　/ ,′
.　　　　　 /|　|　人　 i|--≧s｡~´｡s≦7/ ./ /
　　　　　／　! r::―┤、|i:i:i:i:i:i｢.凹 }　 {ムｨ ./
　　　／　　 } |i:i:i:ｉ:ｉ`ｰヽi:i:ｉ‐=|　　 |i:i:i:ｉ}｜/}:}
.　　　　　　　 }i:i:i:i:i:ｉ:､　}i:i:i:ｉ:ｉ:|　　 |i:i:i:i| l/_ !:!
.　 /　　　　 {i:i:i:i:i:i:ｉ:ヽ|i:i:i:ｉ:ｉ:|.匚r 'i:i:i:|i:i:i:i:i:i|
　/ 　　　　 .|i:i:i:i:i:i:i:ｉ:ｉ:li:i:i:i:i└‐∧i:ｉ:ｉ:|i:i:i:i:ｉ:ｉ|
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　　　　　　　　　　　　　　　　　まんまると太ったお腹を晒して、兵の山に埋まる王様へ目を向けて独りごちる。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　とはいえ。揺り起こして良いものかどうか。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　勝手に運ぶにしても王族の寝室などわかるはずもない。

　　　　　　　　　きょろきょろと当たりを見渡した後。ナナシはいびきの響き渡る宴会場を抜け出して、廊下へと歩み出た。

　
1496 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 07:16:05 ID:PCy6x3TF: 　　　　　　　　　　　　 ´,　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,｀
　　　　　　　　　　 ´,　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,｀
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　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´,　　　　　　　　 ,｀
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　: .: .: .: .: .: .: .: .: .: |:::::ｌ／　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ l:::::|: .: .: .: .: .: .: .: .: .:
　￣￣￣￣￣￣￣￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣￣￣
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　廊下はしんっと、静まり返っている。

　　　　　　　　　　　　　　不気味なほど。だが、それは誰もが安堵の中で眠りにつくことができる証でもあった。

　　　　　　　　　　　　　　もう脅威はいないのだと。誰しもが、夢見た日へたどり着き心安らかに過ごしている。

　　　　　　その一助となれた誇らしさと。得られなかったものの大きさを実感しながら、ナナシは起きている人を探して歩む。

　
1497 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 07:22:46 ID:PCy6x3TF: 　　　　　　　　　　 -‐　　¨¨¨¨　　ミ
　　　　　　　　　　　　　 ,.　-　　　　　ヽ
　　　　　　　　／　　　 ´
　　　　　　／　　｀ヽ,/ 　　　　　　　　　 ‘，
　　　　　 '　　　　　/　　　i 　、
.　　　 /　　 / 　 _,ｉ　　 | 　＼　ヽ　/
　　　 /　/ :/　 ´/ !`　　 :lV ￣∧､　∨ /
.　　 /　/　 ! 　 ,′|　　　 { ＼　 ∧.　 ∨ !　　　 |
　　 ′ , 　 l 　 i　　l　　 ∧ ,ｨ＝≠ミ　.i i|　　　　|!
. 　 ,′/|　,八　 |　　l　、　 ∧　ｈ::::::}‘,　l i|ヽ　　 {',
.　 ,　/　i　　＼{ 　 l　＼　∧弋.ン　ｉ　.i|ノ　　 ∧ヽ　　　　　　　　　　　　　……ん？
.　,' /　　',　　圦ハ/{/ヽ{　＼l -‐- |　 | l i|　　　　∧　＼
.　i/　　 .}ﾄ､　　＼/〔　 ,､　　　　 .|　 |/ i|　　　　 .∧　　`　　 .,_
　　　　　ﾘハ　/ 　丶7.└ '　,. イ ,.!　 /|人　　　　＼　　　　　 ‐-ミ
　　　　　　　 |/!　　/{　｀¨千‐‐≦ .| ./―マﾐx　　　　　　＼
　　　　　　　　 |　 /　＼__入} }　- ｲ|/i:i:i:i:ｉ:ｉ:ﾏ℡　　　　　　｀　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　 }／_,..イ´i:i:ｉ/`}}≦ }i:i:i:iy¨"''=‐ヾ℡　　　＼　　　　　 ‐-ミ　　　　＼
　　　　　厂i:i:i:i:i:i:i:ｉ:_,ノ〃　ノi:i:i:ｉｉi:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ｀℡　　　　 ` ｰ----‐　 ´　＞　　　＼
　　　　　 /i:i:i:i､i:i:i:i:i/γ／　fi:i:i:i:i:i:ｉ| ,.､i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:｀ヾミk　　　　＼　　　　　　　　＞　＼
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　きょろきょろと当たりを見渡し、起きている人を探す。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　声をあげる事は憚られた。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　虚しく響く自分の足音だけを耳に、あちこちと動き回ると……不意に。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　風に乗って、小さく声が漏れ聞こえた。

　　　　　　　　　　　　　視線を向ける。廊下の暗がりがどこまでも続く中、燭台の火がなにかを照らしていた。

　
1498 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 07:27:57 ID:PCy6x3TF: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 : :. -―- 、: : .
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 : :｀: :ｰ一' :
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　瓶が一つ、石畳の上に転がっている。

　　　　　　　　　　　　　　酒を入れておくものにしては小さい。香水かなにかの容器に思えるが、中身は空。

　　　　　　　　　　　　　　いや。僅かに底で液体が揺れているが。ほぼゴミと言っても差し支えないだろう。

　　　　　　　　　　　　　　　　子供が偶然見つけたなら、宝物にするかもしれない程度に綺麗であるが。

　
1499 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 07:34:28 ID:PCy6x3TF: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
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　　　　　　/７”　　　　/　｜　　 |　　 K´ >ィセﾐ､　　　＼　　　　　 |
　　　　　 /　　　　 ,′ l.｜　 ∧　　 .| イリ |　ﾉ｀ー.┬一　　　　 |
　　　　　　　　　　　 | 　 |ハ　　　{ヽ　.{　乂ヅ　|　　　　|　:| 　　　 |
　　　　　／　　　八　 |　∧ハ,｢　､￣　　　""|　　　　|　l| 　　　 |
　　　　￣|　　　　　　＼|イ>―r┬.､　　　　 u|　　　　 ',八　　　 |　　　　　　　――――あれ、これ確か
　　　　　　　　　　　　　 ]／ｧtﾉ .|｜D⌒　／ ¨]　　　　　＼＼　　＼
　　　　　　　　　　　　　 .ﾉ　　 ¨＞'┘ｰｧ'　　　＼　　l　　　＼＼　　＼
　　　　　　　　　　／　　｀ア _ ,.ィi〔　　　　　八:＼_ﾄ､＿　　＼::.　　　＼
　　　　　　　　　／　　／ |　＼　‘i;　　　_- /ﾆﾆニ二:＼￣⌒　::.　　　　＼
　　　　　　　　 .／　　 ,　　　.|　　　>‐}}　／=:/ﾆﾆﾆﾆﾆニ二Y　 /,　 ::.　　　　＼
　　　　　　　／　　　　/　　 .八ﾄ､_/__ﾉﾆﾆニ:/ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ二二|　　∧ 　 ::. 　　　ヽ
　　　　　　/　　　　　/　　　_jI斗／=:}}ﾆﾆﾆﾆﾆ二/ﾆﾆﾆﾆニ二| 　 /∧　　::.　　　　　‘，
　　　　　/　　　　　./　 7⌒　.／二∥ﾆﾆニ二:Vニ二二二二|　　 /∧　　 :.　　　　 ',
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　　　　　　　　　　￣ ∧ﾆﾆニ二〃ﾆﾆﾆ二:＼二|　　　　　 | 　　　　 .|　 ./]　　　　/
　　　　　　　　　／ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ∥ﾆﾆﾆニ二二Ⅵ　　　　　 | 　　　 .／|　/ ﾉ　　　／
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　何気なく拾った瓶を見つめる。記憶へ触れるものが在った。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　勇者やらないのか夫と旅立つ前に。

　　　　　　　　　　　　　　　おおよそ。良くないモノの一つとして記憶していたハズだと、ナナシは思い返す。

　
1500 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 07:37:17 ID:PCy6x3TF: 　x==ﾐ　　　　　＼人_人从_／　　　　　　　　　　　　　　 ,｀　　　　　　　　　　x==ﾐ
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　|::::::::|.: .: .: .: .: .:／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '.　　|.ｉ|　 l､∧∧∧∧∧}' 　 tﾝ .{ﾊ　./
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　|::::::::|.: .: .:／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }　　 lヽ　i|:､／　 ,、　　　イ　/ ,′　　　　まさか、勇者様を誰か狙って……！？
　|::::::::|.: ／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /|　|　人　 i|--≧s｡~´｡s≦7/ ./ /
　|::::::::| ´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　! r::―┤、|i:i:i:i:i:i｢.凹 }　 {ムｨ ./
　≧≦　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 } |i:i:i:ｉ:ｉ`ｰヽi:i:ｉ‐=|　　 |i:i:i:ｉ}｜/}:}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }i:i:i:i:i:ｉ:､　}i:i:i:ｉ:ｉ:|　　 |i:i:i:i| l/_ !:!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　 {i:i:i:i:i:i:ｉ:ヽ|i:i:i:ｉ:ｉ:|.匚r 'i:i:i:|i:i:i:i:i:i|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　　　　 .|i:i:i:i:i:i:i:ｉ:ｉ:li:i:i:i:i└‐∧i:ｉ:ｉ:|i:i:i:i:ｉ:ｉ|
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ぞくりと。背筋が振るえた。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ぎくりと。耳が跳ねた。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　背後から声がする。知っている声。けれど、知らない音色がある。

　
1501 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 07:38:40 ID:PCy6x3TF: 　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.　　"__￣ ¨
　　　　　　　　　　　　　　　　 _..-彡..'　　　　＼　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　￣ーｙ... { 　、　　ヽ, ＼　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　 /　'　.i{　　{＼¨ヽ ∧ ､ヽ　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　,′l .V　 { ,ｨ==ミ ∧ ＼}　　.|
　　　　　　　　　　　　　　　 ′,{　 l　 .V.∧.ﾄJ} ∨｀¨', ヽ　　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　 { /|{ i{ﾙ从N＼ゞ‐''　lＶ　 ', ﾉ　　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　 l/ .lﾍヾ{__ u. 　 __　　| Ｖ　 ',　　　!
　　　　　　　　　　　　　　　　 V.ヽヾ| 　.´　 V） i　.∨　ｉ　　 ',　　　　　　　――――三日月、姉さん？
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V∧ .＞..`_　..イ|　..ﾊ＼!　　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〉 ∧ ',{:ﾆ',ﾆニ}|／,ﾆ} .|ヽ,.ｨ　|
　　　　　　　　＿＿　　　　　　 /　,i{´ヾﾆﾆ;',‐-‐}　∧j.ノ‐-ﾐl　i
　　　　　 ´　　　　　｀　　　　／　,ｉｌニヽ:ﾆニ',ﾆﾆ}　 ∧ﾆﾆニ:ｉ｜
　　　　／　　　　　　　｀¨¨´　　 {ﾆﾆﾆﾊiﾆニ,ﾆﾆ}.匚].ｉ }ﾆ{ニ|ﾉ
　　／＿＿＿　　　　　　　　　　 |ﾆニ;ヽ}iﾆニｉﾆ└‐‐┘'，'，{
　　　　　｀ヽ　`　　　　　　　　 |ﾆﾆﾆﾆ:iﾆニ|ﾆﾆニ||ﾆﾆ}ﾆ} }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }ﾆ!ﾆニr'iiヽ.,{ﾆﾆニ||ﾆﾆ'ﾆ;!:|
　　　　　　　　　　　　　　　　 fﾆノﾆﾆﾆ}ﾆニ}ﾆニニ{{ニ.}ﾆ}:,'
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　心臓が高鳴っている。恐る恐ると、声の方へ足を進める。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　手に握りしめた瓶が、ぎしりと音を立てていた。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
1502 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 07:44:18 ID:PCy6x3TF: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 (
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　} ＼_人_/(
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _､-''"~~"'+　　　　　　　　　　　　　　　　｝_|___ l l　｛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ .:/　　　 ,ﾉ　　　　　　　　 , .､　　　　　 }｀　 |_ ,_　　 |
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　乂::::{__／.i.　(≦:::::::::::::::''＜｀ヽ′　　 V　　 }r‐ ､____)　　〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ア..:::::＼:::::::::::::::::::::::::::::::V. 　　 }　|　　　八_______ノヽ (
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '　　。　　　　　　　　　　　　　　　 r;　　 .}　　　　　　　　＼　.｡s≦/{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　J　　　　　　ゝ _〉､__ﾉ、ﾉ)＿＿ .＼｡s≦＼////∧　　　(＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ 　　　　　＼　　　＼　＿ .ィ､　　　ノ::::::::＼:::〉爻从＼////////.込、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　 _.＼--＼―=≦＼//////￣/爻从爻从爻从//////////////＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {　　　 .｡s≦////＼//////////////////////////////////////////////＼
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　二人がいた。一つの影となって。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　黒髪を揺らす姉のように慕い。そして、淡い恋心を抱いた乙女と。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　寝室を占拠し、身体を交わらせていた。

　
1503 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 07:47:55 ID:PCy6x3TF: 　

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　　ﾟ｡　　　　　　 ∠＿＿　　　　 {　　　　　　　　　　　人　　　 /
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　　　　ヽ　／ >　　∠＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　)　.! 　　 /　　　　　　　　　――――――――ぅ、あ
　　　　　 }／　 (　　ヽ　／　　　　― ― 　　　　 .イ　　/ヽ│　　/
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　　　　　／　　　　＼　　　　　　 __　　　　　　　　　　/　　 |　 / ＼
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　よろめく。見たくない光景が、そこに広がっている。

　　　　　　　　　　　　　　三日月の心がどこへ向こうが自由であるが。それであっても、認めがたい物がある。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　自分へ微笑んでいてくれたのだ。彼が現れるまで。

　　　　　　　　　　　　　　　何処からか。そして、誰にもなし得ない事を成し遂げた勇者へ目を向けるまでは。

　
1504 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 07:52:51 ID:PCy6x3TF: .　　　　　　　　＞ -‐………‐- ＜
　　　　　　　　／　　　　　　　　　＼
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　　　　/　/　　　|.　　 ‘　＼　　‘,　　　＼　‘,
　　　　　　　 '，　　 ‘, 　＼　‘,　　　　＼
　　　　 |　　|.　　'，　　 ‘,.､z=ミx ‘, 　＼　　＼
.　　 /　 |　　|　＼＼　　 ‘,ﾏrうﾘ＼'，　　＼　　＼
　　 / 　 .|　　|　＼＼l＼＿‘ ゞ'´　.!｀＼　　 ~''～ ,_＼　,
.　 /　ハ |　　‘,.＿＼ ´^''─ '￣´　.|　|　　∧　　　'，￣
　/／　 .|　　　'，／Ｌ,,　｀　＿＿__ |　|　./　＼　　　　　　　　　　　　　　なん――――でっ！
./'゛　　 | ＼　　＼　/　.ィﾆﾆ}　　 .|　| < ＿＿_＼　|
.　　　　　　　|＼　　＞´ {.XX.}_-￣|　|￣i:i:i:i:i:i:ｉ:`'マX
　　　　　　＼! 　＼　{＿ヽ／i:i:i:ｉ:　　|i:i:i:i:ｉ:ｉ:／i:i:i:i:i:ｉ:ﾑ
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　　　　 |./　 /i:i:ｉ/i:i:i:i:ilﾆ|i:i:i:i:ｉ:ｉ:|∧.| |　|　/　∧ 　V/i:i:i:i:i:ｉ:ﾑ
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　　{i:i:i:i:i/i:i:i:i:i:i:{ニ}i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ:ｉ:|i:i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ:ｉ￣-_　￣-_　　　　 `'マ}
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　いや、いやと首を振りながら下がる。奪われたなどと、思いたくないから。

　　　　　　　　　　　　　　　仕方ない事だと諦めようとして。勇者は立派な相手なんだと、煮える感情を飲み干した。

　　　　　　　　　　あれだけの美女に囲まれているのだから、一人くらい譲ってくれなどと思い。どうして自分じゃないと嘆き。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　――――思わず、手を固く握りしめた。

　　　　　　　　　　　　　　ぱきりと、小さな音を立てて瓶が割れる。手のひらを浅く斬った。僅かな痛みに、目を向ける。

　
1505 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 07:56:54 ID:PCy6x3TF: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'"´　　￣￣　　　ミ
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　／／　　　 /　　　 /　　　＼　　 '　,
　　　　　　　　　　　　　 ,　　　　　 ./　　　 / :| 　　　ヽ　　 ',
　　　　　　　　　　　 /　/　　　　/　　　./ｉ　|V　　　　 `、　　',
　　　　　　　　　　　　　 /　　 __　　 !　　 __i{　.|∨ 　　　 `、　 i
　　　　　　　　　／／/ 　　! 　｀　|　　ｉ八‐T=‐-　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　／／　/ 　　.!　 | 　 |　　 |笊芋示ﾏ.　　! 　 i }　 ;
　　　　　　　ー　 ´ 　 /ィ　　 !　 |　 Ⅳ 　 :| _）.ij　ﾘ } V　|　　|ﾘ　,'
　　　　　　　　　　　　　　/　! 　　 |　从N| ＼　| 乂__ノｲ　`､}､　 ! ./
　　　　　　　　　　　　 |　　/N∨ 　　 ,　ヽ!　　u.　,.!　 ./ }、Ｖ
　　　　　　　　　　　　 l　 / 八／|　　　　　　　　/ | | /ｲ　＼∨　　　　　　そうだ、これ毒……麻痺とかそういう……
　　　　　　 ,-､r┐ /　　　 |／ /　＼7 　ｒ-　、　　/　:! !'　　ｉ_　｀_
　　　　 ,ｲ_　ｌ　{ .{丶＿＿_ .ｲ　 /　,＼　　　ｨ/　　| |　　 / Y´ }
　　　　　<_,i　/ __,V',　　　　 |　　ｉｚｚ{｀ｰ｀ニ斥‐./ 　 , .l |,_　/　.{ Ｖヽ
.　　　　 Yァ ´／=ﾐx　　　　 ,| 　 |`;;┘;;／ i{ﾆﾆ/　／ﾉl |_ﾐﾉ_　 '　 .､_}ヽ
　　　　　　＼/二二ヾV　　 / 、　|;;ノ／　ｉ{ﾆﾆ/／イ　八|ﾆ｀'＜ヽ.ノ`‐'
　　　　　　 {ニニニﾆ‘, 　./ニ,＼|;;/__＿ｉ{二/ﾆ/ .／/ﾆﾆﾆﾆﾆ}_ヾ＼｀　＜
　　　　　　 |ニニニニ‘, /ニ∥二/└―'ｉ{二'ﾆ/ /ﾆ/二二二二ﾆ}:　＼　　ヽ
　　　　　　　　',ﾆニニﾆﾆ/ﾆニｉｉ;ﾆﾆL..二二{二ﾆｉ　|ﾆ,'二二二ニﾆ/,゛　　＼
　　　　　　 ∧ﾆﾆﾆﾆﾆ′ﾆ∥ﾆﾆﾆ/ ﾉﾆ二二ﾆ}　{,'二二二二ﾆ//　　　　ヽ　 } ＼
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　　　　　 | 　 |　　　　　　lﾆﾆ二ﾆｉ iニﾆﾆﾆﾆﾆ二‘,.V｀二´　　　　　　　　　 |　　＼　　　 }
.　　　　　八　 | 丶　　　｜ﾆ二ﾆ|｜ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ;`､＼／＼　　　　　　　　　　　 |　　　　　 /
.　　　　　　＼|　　＼　｜ﾆ二ﾆ| |ﾆニニニﾆﾆﾆﾆﾆ`､＼　＼　　　　　　　　　 | 　　　 i　 /
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　心臓が高鳴る。冷や汗がべったりと肌にまとわりつく。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　荒い呼吸のまま。少し開いたドアの隙間に目を向け、中を伺う。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　三日月が乱れていた。やらないのか夫が、蒙昧な目で彼女を抱いていた。

　
1506 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 07:59:40 ID:PCy6x3TF: 　 {　　＼　　::ヾi　　　′　　　　　　_　　　　　}i　　 ..:
　　　　　.i＼　　' ,／! 　　＿　 -‐v´/　　　 ,　|i.　　:
　　　　　.|　＼　入７　｀ヽ.. 　　.:´ 　　／　,i　　 ...:　　　　　　　　　――――――――ああ、そう。「良いんだ」
　　　　　 i　　＼　＞:...　　　　¨　　　.／　　/　　　..:
　　　　　 |　　　＼　i: :＞::...　　 ,..::::::　　　/　　　 .:
　　　　　 |　　　　　ヾi: : : : /　 ¨}　　＿__./　　　　 .:
　　　　　 |　　　　　 i: : : :/　　/＼／　 /　　　　　 :
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　失恋で終わるはずだったモノが、暗く歪む。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　手の痛みはいつの間にか失せて。

　　　　　　　　　　　　　　　　あれほどに高ぶった熱は失せ、冷めた頭がこれからすべきことを積み上げていく。

　
1507 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 08:00:42 ID:PCy6x3TF: 　x==ﾐ　　　　　　　　　　´,　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,｀　　　　　　　　　　x==ﾐ
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　運命が歪む。悪しく。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　純粋であった心が、だからこそ――――暗く淀んでいった。

　
1508 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 08:00:57 ID:PCy6x3TF: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_.....-:::::_　-‐
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　　　　　　　　　　　　　【そして、君はいなくなった】　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,:::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::l:::::
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1509 ：なつしお ◆myjeheQZSo ： 2025/11/28(金) 08:01:43 ID:PCy6x3TF: 　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
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　　　　　　　　{　i| :{..　∩.　＼'. ∩ . ﾘ　,:}　｝　　　　　　　時間、大幅に超えてしまった
　　　　　　　　 V从{　 ∪.　　　 ∪.....} // /}
　　　　　　　　　{＼{.　　　　　　ｕ.厶/ /:ﾘ　　　　　　　今日はいじょー。次回、エロシーンと締めじゃ！
　　　　　　　　　乂个s｡ . i⌒⌒i　｡イ彡'=个:､
　　　　　　　／　丿.} / i|ノ＼／ヽL　i{ (__､　＼＼
　　　　　　 { :{　`ｰ匸ら/ X不`:<ﾄ､:＼ゝｨ"＼　 Y )
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　　　　　　　　　　　　 Ⅵ!　　 Vﾊ
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1510 ：名無しさん＠狐板： 2025/11/28(金) 08:16:32 ID:59VZK6n7: 乙

長波様とイチャラブSEX

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